2013年 3月 29日 の記事

伝説のトラック野朗

なんだか急に寒くなりましたが皆さんは如何お過ごしでしょうか?
夜とかちょっと寒すぎですよね?
花粉のせいなのか風邪ぎみなのか鼻水がツーっとなりそうな危険予感がありましてマスクが手放せない今日この頃だったり。

そそ、先日仕事の帰りに映画”フライト”を観てきました。
デンゼル・ワシントンのファンなもので。
公開中の映画なので内容については書きませんが、映画を観ながらサミュエル・L・ジャクソンとトミー・リー・ジョーンズが主演した映画”英雄の条件”を思い出してみたりしました。
あとはエミリーローズを思い出しましたかね・・・
あの映画ってオカルトっぽい予告編とかキャッチコピーに騙された人がいて公開当初は酷評されたりしてましたが、映画としては良く出来ていますし、逆になぜ日本の配給会社がエクソシストをイメージさせるような宣伝をしたのかが悔やまれます。
映画を観て騙されたと感じた人が多かったようですしね。

なので、このフライトもパニック映画だと思って観に行くとガッカリするかもしれません。
いろいろと考えさせられる映画なので観に行く場合はお友達と行くのが良いとお思います。
で、映画を観た後は美味しい食事と美味しいお酒を楽しみながらじっくりとこの映画について話し合ってみてください。

人によっていろんな見方があって面白いと思いますよ。
まさに英雄の条件って人によって違うだろうし、正義に対する考え方も違うでしょうしね。

と言う事で、ガチムチトラック野朗のお話。

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– 今日の荷物は特殊なガラスだそうです –

目的地辿り着くと案の定急ぎの仕事があった。
仮眠も取らずに支度する俺。
疲れていないといったら嘘になるが、今はあのトラックを買うことしか頭に無い。
それには金も必要だがドライバーとしての錬度も上げなければならない。
今は働くしかないんだ・・・俺は自分にそう言い聞かせた。

運行前点検も早々に切り上げ、俺は運転席へと乗り込んでエンジンを掛ける。
いつもなら声だし点検を行うのだが今日はそれも省いた。

挨拶も早々に出発する俺。
混雑する市街地を抜け街道へと入る。
ここで夕飯にと買っておいたパンを冷えたコーヒーで流し込んだ。
そういや暖かい食事なんてここ何日も口にしていないな・・・
いつになく冷えたコーヒーの味が苦く感じられた。

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– 最近は空の様子で雨が降るかわかるようになってきた –

辺りが急に暗くなると案の定雨が降り出した。
急いでワイパーのスイッチを入れる。
同時にヘッドライトのスイッチも入れた。
無駄な罰金を払うのはもうコリゴリだ。
それに時間を無駄にはしたくなかった。

料金所を通過してハイウェイに入る。
雨は既に小降りになった。
この分だと時期に雨もやむだろう。
急いで距離を稼ぐ。
制限速度ギリギリで俺は走った。

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– 料金所では決められた位置で一旦停止・・・停止位置は結構シビア –

まだまだ先は長い。
しばらくすると道が混んで来た。
どうやらサラリーマンの帰宅時間と重なったらしい。
俺はラッシュアワーの時間を避けて仮眠を取る為にドライブインに入る。
急ぎの仕事とはいえ、ラッシュに巻き込まれたらそれこそ時間の無駄だ。
このタイミングを利用して仮眠を取る・・・これぞプロの時間の使い方と言う物だ。
脳筋系と思われがちな俺達ガチムチトラック野朗だが、ちゃんと頭も使ってるんだぜ。

どこかに止める場所は無いかな・・・と、駐車スペースを物色していると見慣れないマークが目に入った。
「ん?あれは・・・」
昔世話になった伝説のトラック野朗!南方の兄貴のトレードマークだ。
それにしてもこんなところで出会えるとは・・・
俺は逸る気持ちを抑えながらも兄貴のトラックに横付けする。

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– ん?・・・あっあれは306SQの部隊マークじゃねぇか! –

「兄貴!!」
俺が大声で呼ぶと不機嫌そうな声と共に懐かしい顔が見えた。
「おお!MAGNUMじゃねぇーか」
久しぶりの再会に俺の顔もほころぶ。
「良く俺だってわかったな」
「そのマークでピンと来やした。へへっ」
兄貴が豪快に笑った。

aniki
– 兄貴近影 – 某ドラマの人ではありません –

俺は近況を話した。
ちょっと前に独立して今は日雇いの仕事をしている事。
貯金に励んでいる事。
ゆくゆくは自前のトラックで勝負したい事。
そして、俺は例のトラックの事を相談した。

目標を見つけた俺の事を兄貴はまるで自分の事の様に喜んでくれた。
だがさすがは兄貴だ。
ただ喜ぶだけじゃなかったんだ。
兄貴はこう続けた。
「トラックに必要なのはパワーだ。だがIVECOにはパワーがねぇ。悪いことは言わねぇからVOLVOにしな。」
兄貴からのありがたいアドバイスだ。
今度暇を見つけてVOLVOのショールームにでも出かけてみるか。

それから俺達は昔話に花を咲かせた。
一杯あれば朝まで話せそうな勢いだった。

長居したいのは山々だがお互い仕事がある。
兄貴はこれからドーバー海峡を渡ってロンドンへ向かうらしい。
俺も早く自分のトラックを手に入れてドーバー海峡を渡ってみたいぜ。