2012年 12月 14日 の記事

Rage Against the China

こないだ注文しておいたRage Against the MachineのCDが届いた。
デビューアルバムのリマスター版といってしまえばそれまでだが、一応20th記念と言う事でDVDとかも付いてるのでファンにとっては買うしかないでしょう。
と言う事で、先日までヘビーローテーションだった達郎さんから最近はRATM三昧な日々を送っていた私の元へ恐ろしいニュースが届いた。


– Killing In The Name – 殺しの名目 – このグルーブ感は凄い –

”またしても”と言いたいところだが、先日チベット人が焼身自殺した。
その中には16歳の少女までもが含まれていたそうだ。
この少女は自らの体に火を放った後、「ダライ・ラマを支持する」「チベットに自由を」などと叫んだのだと言う。
中国当局の高圧的な統治に抗議するためだったのは明白で、前日にも二人のチベット人が焼身自殺をした矢先の出来事だった。
チベット自治区では2011年3月以降、中国当局による「宗教や文化の弾圧」に抗議して30人以上が自らの体に火をつけている。
つい先月にも二人のチベット人僧侶が抗議の焼身自殺をしたばかりだ。


– Rage Against the Machine – 頭の悪い奴ほど興味本位で見たがる –

このCDジャケットを見た時の衝撃は忘れられない。
そして、それが真実だと知っ時の衝撃も忘れない。
このCDとの出会いのおかげで、私はティック・クアン・ドック僧侶と出会う事ができたのだから。
残念ながら彼の死後30年以上経ってからの事ではあるが・・・
そしてそれは今も繰り返されている。

半世紀前のベトナムで起きた事が、国が違えど同じアジアで今起きているのだ。
聞いた話によれば、当時も国際社会は冷淡だったそうだ。
だが、まだましだったように思う。
”敵”がアメリカだったからなのか知らないが、我が国の平和主義者やら自称リベラルの文系著名人やらが反戦・反米を掲げてワシントンポストに広告を打ったのだそうだ。
今のカッコだけの平和主義者らとはチョット違うのかもしれない。

taro_okamoto
– 小田実の言葉を岡本太郎が書いた –

ただ、相手がアメリカだと強く出れると言う、日本のナンチャって平和主義者な臭いがプンプンするのは否めない。
仮にそうだとすれば、所詮は歪んだイデオロギーの上で人の命の値踏みをする下種な人種だと言わざるを得ない。
実にくだらない連中だと思う。

チベット人の命がけの抗議に対して何もしない自称平和主義者。
日本のマスコミ然り、日本の知識人も然り。
大江健三郎とか坂本龍一とかも沈黙している。
原発問題にはしゃしゃり出てくるくせに、チベット人が焼身自殺しようが都合の悪い真実は目に入らないらしい。
坂本龍一に至っては”TIBETAN DANCE”なんて曲まで発表しておきながら、チベット人達の命がけの抗議を黙殺し続けているのだ。

イデオロギーとはなんとも恐ろしいものではないか。

大変才能のある両名ではあるが残念ながら真の平和主義者では無い。
本物の平和主義者なら、チベット人の命がけの抗議に対して何らかのアクションを起こしているだろう。
まぁ・・・”教授”なんて言われているが、学生時代にはゲバ棒振り回して共産革命に傾倒していたらしいので、ある意味この手のダブルスタンダードも彼の中では当たり前の事なのかもしれない。

要するに・・・

所詮は反米することがカッコイイと思っていた世代の亡霊なのだ。
体制への反抗がカッコイイと思っていた時代の残り香のような連中なのだ。
反抗してもマジギレされない相手を選んでいるあたりが狡猾だと言わざるを得ない。

そもそも作家やミュージシャンと言うのはそれぞれの分野で才能が開花しただけで、人間的に崇高な心があるかは別な話なのだ。
マリファナ吸ってラリッて書いた曲がたまたま当たっただけなのかもしれないし、外国人受けする自国批判を書いたら過大評価されただけだったりするのだ。
音楽や文学は作品を純粋に楽しむべきで、作曲者や作家のイデオロギーまで妄信する必要は無い。

我々はファンであるだけで信者になってはいけないのだ。
それはRATMにも同じ事が言える。


– Rage Against The Machine – Sleep Now In The Fire –

この曲は、まるで他国を踏み台にするかのようにして繁栄するアメリカを皮肉った歌だ。
印象的な歌詞に以下のような表現がある。

Maria, the Pinta, the Santa Maria
The noose and the rapist, the fields overseer
The agents of orange, the Priests of Hiroshima
The cost of my desire, sleep now in the fire

コロンブスがアメリカ大陸を発見した際に使用していた船の名前から始まり、アメリカがベトナム戦争で用いた枯葉剤の名前もある。
そして日本人としては無視できない”Priests of Hiroshima”と続く。

コロンブス側からしてみれば世紀の大発見であるところのアメリカ大陸の発見は、土着の民族であるところのネイティブアメリカンにとっては虐殺に至る悲しい記憶であり、自国の勝利の為なら手段を選ばずに枯葉剤を撒き、ベトナム人に奇形児が生まれようが謝罪することはおろか非を認めることも無く、同じように勝利の為なら広島と長崎に原爆を投下する国・・・それがアメリカだと言う訳だ。

ただし、彼らはそのアメリカで絶大なる人気を博し、巨万の富を得ている事も忘れてはならない。
彼らの音楽は素晴らしい。
歌詞もメッセージ性があって心に響く。
だからと言って感化されるのは愚かだ。
コレは彼らの考えであって、なにが正解かは自分で見つけなければならないのだから。

もちろん、何かをキッカケにする事は良いことだと思う。
でも、自分の目で見て、自分の耳で聞いて、自分の頭で考えなければならない。
他人の考えを妄信するのは愚かだと思うのだ。

何度も言うが、彼らは人間的に優れている訳ではない。
それぞれの分野で才能が開花しただけに過ぎない。
世界平和を声高に叫びながら自分の妻を虐待し続けた劇作家然り、LOVE&PEACEなどと耳障りの良い事を歌っておきながら、裏では平気で他人に暴力を振るうミュージシャンや薬物中毒の著名人などが実に多い事。

真の平和主義者ならそんな事しないでしょ?

無知ほど染まり易い・・・馬鹿と言い換えても良いかもしれない。
すぐに感化されて動き出す出来の悪いロボットと言う名の信者達。
何かに依存したり盲目的になる事の恐ろしさに早く気付くべきですな。

まぁ・・・「レイジ 僧侶 焼身自殺」などの頭の悪そうなキーワードで興味本位に検索してくる馬鹿には何を言っても判らないだろうが。


– これ見て三年前を思い出そう –

何も考えずに他人の考えに流された結果、今の日本があると言う事を思い出そう。
そして、また何も考えずに他人の考えを妄信しているだけでは同じ過ちを繰り返すだけだ。

少なくともテレビで顔を知っていると言うだけで選ぶのはやめよう。

※ティック・クアン・ドック僧侶
ベトナム戦争当時、南ベトナムのゴ・ディン・ジエム政権による宗教弾圧に対してサイゴンのアメリカ大使館前で抗議の焼身自殺をした。
ゴ・ディン・ジエムの義妹のマダム・ヌーはアメリカのTV番組のインタビューで「人間バーベキュー」と評した。
時のアメリカ大統領リチャード・ニクソンは著書の中で、この事件を共産主義者のプロパガンダの一環に過ぎないと主張した。

YouTubeなどには映像もあるそうですが、一人の人間が死に至る過程が映っているので興味本位で観るのは止めましょう。
半世紀以上経っても同じ事が繰り返されている事実や、為政者達の発言の内容が似ている事に恐怖を感じます。