2011年 9月 12日 の記事

ゾンビが街にやってくる – Dead Island –

過去から現代に至るまで、数多くのモンスター達が銀幕を飾ってきた。
中には主役の存在をも脅かすほどの存在感を示す者までおり、恐怖映画と言う一ジャンルを確立する上でその存在が与えた影響は計り知れない。
古典的な名作で言えば、狼男やせむし男にフランケンシュタイン。
ちょっと新しいので言えば、エイリアンなどの宇宙人系やらサメや熊と言った動物系までが悪役として華を添えてきたのだ。
そんな中で長い間異彩を放ち続けているのがゾンビなのでは無いだろうか。

Wikipediaによればアフリカが起源ではないかと書かれてあった。
奴隷の流入によって、中米、西インド諸島に渡ったとされる。
アメリカ国内でも黒人系の多い南部などではブゥドゥーの風習が今も色濃く残っているそうだ。
アメリカ人の同級生の男の子達が月夜の晩などに”Zombie Moon”と叫びVoodoo! Voodoo!と騒ぐのを何度か見た事がある。
日本で月と言えば”ウサギとおだんご”、”かぐや姫”などがポピュラーだし、西洋だと狼男の方が一般的だと思っていたのでちょっと驚いたのを覚えている。


– このエレベーターのシーンは、恐怖映画史に残る名シーンのひとつだと思う –

そんな人気者のゾンビだが、映画史の中で最初に登場した時は脇役扱いだったそうだ。
売れない頃の不遇の時代を経てゾンビは、1968年のジョージ・A・ロメロ監督によるナイト・オブ・ザ・リビングデッドで一躍スターの仲間を入りを果たす事となった。
続くDawn of the Deadではその地位を不動の物とした。
私もこの映画は子供の頃にDVDで見たのですが、その衝撃は今でも鮮明に覚えている。

ゾンビというキャラクターの魅力は、元が人間だったと言う点にあると思っている。
いくらゾンビになってしまったとはいえ、罪も無い人々を撃つ事は良心のある人間であれば躊躇わずにはいられないだろうし、それが自分の肉親だったら余計躊躇ってしまうはずだ。
この躊躇いが、主人公たちを窮地に追いやる原因でもあり、ドラマを生むのだ。

数の恐怖と言うのもある。
まるで暴徒を連想させるあの量は、まさに数の暴力と言える。
そして最も特徴的なのは、ゾンビ特有のあの”ゆったりとした動き”ではないだろうか。
仮にゾンビが一人なら怖くもなんとも無いし、あれだけゆっくり歩くのだから走って逃げれば良いのだが、気が付くと周りをゾンビに取り囲まれてしまう辺りに、なんとも言えない得体の知れない恐怖を感じるのだと思う。
焦りまくる登場人物達とシンクロすることで、見る者に与える恐怖感を倍増させているのだと思うのだ。

死体が歩き回ると言うある種のタブーから来る嫌悪感を伴うのも特徴ではないだろうか。


– ジョージ・A・ロメロ – Black Mesaの人に似てない? –

だからそういう意味から言えば、「28日後」などに代表されるいわゆる”走るゾンビ”は邪道だと言えるのかもしれない。
事実、Dawn of the Deadのリメイク版ではゾンビが走りまわるのだが、それを見てロメロ監督は「走るゾンビは気に入らない」とコメントしている。

リメイク版を私も見ましたが走るゾンビも怖いですけどね・・・ミスター・ゾンビからすると邪道なのかもしれません。

そんなゾンビは映画界だけではなく、ゲーム業界でも引っ張りだこなのは言うまでも無く、過去にもバイオハザードなど有名タイトルを生み出す原動力にもなった。

そんな中、海の向こうから新たなゾンビゲームがやって来たのだ\(^o^)/オワタ


– GreenMan Gaming 略してGMG!GMG!GMG! –

知り合いから「スチムーだと”アレ”だけどGMGで買えば”すぐ”やれるよん(原文まま)」と教えてもらったので、「GMGとはなんぞや・・・?」と思うものの即購入!
インストールも滞りなく終了で、イザ!ゲームスタート。

※アレ=大人の事情。
※すぐ=VPN

キャラクターは4種類の中から選べる。
因みに私はラッパーのブラザーにしました。

スタートはホテルの部屋の中から始まる。
既にこの世はゾンビパラダイスのご様子で、廊下に出ると叫び声などが遠くから聞こえてきた。
部屋を物色後外へ出ると、そこは南国パラダイス。
青い海、青い空が美しい。

一見ゾンビには似合わない美しい景色なのですが、この美しさがゾンビには良く似合う。
事実、ゲームがある程度進行するとこの美しい景色とはオサラバする事になるのだが、私はそこで一気にやる気が失せたのだ。


– 画面下の方はアレですが、それ以外はまさにパラダイス –

正直に書くと「ちょっと怖くなりすぎ」
それまでは南国リゾートを満喫しながら、それほど強くない(怖くない)ゾンビをボコボコにするのが程よい恐怖を演出していて面白かったのだが、これが一転、陰鬱としたスラム街やら、下水道の中やらでは戦う気力も萎えてしまうのだ。

それに、キャラの育成に失敗したのか、ゾンビに殺される事が多くなってしまった。
残念ながらそれに比例する形で私ご自慢の”飽き”が来たのでここで終了。

先のストーリーが気になるものの、他にやりたい事もあるし、なんと言ってもビデオを作る予定は無いので燃えないのだ。
リペイントの必要性が無い事も”飽き”の訪れが早かった要因かもしれない。

そうは言っても結構面白かったですよ。
ただ、ネットでの評判は割れているようですね。
原因のひとつはこのゲームのティザームービーの出来が良かった事だと思いますが、プリレンダーのビデオ見ただけで期待しちゃうってのもかなり( ´・_・`)な感じの人達だなぁと思います・・・
ゲームの画面見てならわかるんですけどね・・・あくまでもプロモーション用のティザーですしね。
この手の人達の評価と言うのはあまり当てにならないので、もし購入しようとしてる人はプレイ動画をみるか、信頼のおける人のレビューなどを参考にするべきだと思います。

私の場合は車に乗ってお使い行けるようになってから面白くなってきました。


– ホテルのプール - 左にあるのがプールサイドに良くあるバー –

基本的にはお使いをこなして行くタイプのゲームですが、そこはゾンビがいっぱいなので食料の調達やら、燃料の調達など切迫した感じがあって嬉しい。
この手のゲームの事を箱庭系と言うそうですが、肝心の箱庭がしっかり出来ていて好感が持てました。
私も海外のリゾート地とかいろいろ行った事がありますが、ホントにこのゲームはよく出来ています。
実際のリゾートホテルなんかも敷地内にはプールとかあって、そのそばにはバーがあって、ちょっと行くとプライベートビーチがあります。
この辺りの世界観がしっかり作られているし、島の中を車で移動出来るのも良い感じですね。
もちろん道路にもゾンビがいますし、乗り捨てられた車なんかもあって、ゾンビ映画の雰囲気は良く出ていると思います。

そういう意味でもかなりゾンビ映画を研究しているのでないでしょうか。
余談ですが、ロメロ監督のゾンビ映画がヒットした後、数多くのゾンビを真似た映画が氾濫しましたが、どれもこれもただ人を怖がらせるだけと言う”不快な”映画ばかりでした。
残虐なシーンを見たい人には良いのかもしれませんが、映画としては非常に粗悪なものが多かったと思います。


– 28日後 – 人の怖さを描いているので、脳筋系の人が見ても怖くない –

ロメロ監督のゾンビ映画は既に30年以上も前の作品ですから見た目の怖さはそれほどありませんが、内面から来る恐怖や人としての悲哀などが上手く纏まっているので、純粋に映画として良く出来ていると思います。

因みにリメイク版もよく出来ていますよ。
気持ち悪さから言えばこちらの方が気持ち悪いです。
ただ、ちょっと「28日後」を意識しているような感じがしました。

28日後は監督がダニー・ボイルと言う人なんですが、私はこの監督の作品が大好きなのでお勧めです。


– 1978年度版Dawn Of The Deadの予告編 –

映画もゲームも同じだと思いますが、楽しむ側にもそれなりの心得が必要だと思っています。
空腹は最上のソースと言われるように、想像力は映画やゲームを楽しむ上で不可欠だと思うのです。
極端な例ですが文字だけで物語を紡ぐ小説は、読み手に想像力が無いとあまり楽しめません。
活字を読むことだけで文字通り物語の世界を想像するわけですから、想像力の無い人にとってはあんなにつまらないものは無いでしょう。

でも、小説によって得られるリアリティーと言うのは時として映画やゲームを上回ると思っています。
他人が想像して画にした物を見るよりも、自分で想像した物を頭の中で体験する方がリアリティーが高いのだと思うのです。

余談ですが、人の想像力を上回れる物があるとしたらそれは神が創りたもうた現実以外に無いと言われています。
「この平穏で退屈な現実が?」と思うかもしれませんが、昔から事実は小説よりも奇なりと言うではありませんか。

911や311の事を考えていると、改めてそう思うのです。